近年、生成AIの活用が急速に広がり、企業や個人が新しい価値を創出する手段として注目されています。しかし、「どのように活用すればよいのか」「リスクはないのか」といった疑問や不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、生成AIの基本的な仕組みや主な種類、具体的なサービス、ビジネスでの活用事例をわかりやすく解説します。利用時の注意点も解説していますので、生成AIを効果的に活用したいと考えている担当者の方はぜひご覧ください。
生成AIとは
生成AIとは、テキスト、画像、音声、動画などを生成することを目的とした人工知能技術のことです。これまで手動で行っていたクリエイティブな作業を効率化するだけでなく、新たな創造性の領域を切り開くツールとして注目されています。
ここからは、生成AIについてさらに深堀りしていきます。
生成AIの仕組み
生成AIの基盤となっているのは、ディープラーニング(深層学習)という方法です。生成AIは、膨大な量のデータを学習し、そのデータからパターンや特徴を理解することで、新しいデータを作り出します。
生成AIに使われているモデルについては、後ほど「生成AIで使われている主な技術モデル」にて解説します。
生成AIと従来のAIの違い
従来のAIの多くは、「識別系AI」と呼ばれる特定のタスクを効率的にこなすものが主流でした。識別系AIは学習したデータに基づいて結果を予測したり、決められた作業を自動化したりすることは得意ですが、人間のようにクリエイティブなものを作り出すことはできません。
一方、生成AIは学習した情報をもとに、単なる模倣ではなく、新しいコンテンツを創り出すことが可能です。生成AIは自ら学習し続けるため、学習させていない情報やデータも取り入れて新たに生成できます。生成AIの登場により、人間にしかできないとされていた0から1を生み出す作業ができるようになったのです。
生成AIを使うメリット
生成AIを活用することで得られる主なメリットには、次の3つが挙げられます。
- 業務効率化
生成AIを活用すれば、手作業で行っていたタスクを短時間で完了させることが可能です。たとえば、メール返信やレポート作成、デザインの初案作成など、時間のかかる業務をスピーディに進められます。
- コスト削減
生成AIは一度学習させれば、高品質なコンテンツを生産できます。広告用のキャッチコピーやバナー画像の生成など、従来はプロのクリエイターに依頼していた業務を生成AIに代替させることで、人件費の削減につながります。
- 新たなアイデアの創出
生成AIは、人間が考えつかなかった視点やアイデアを生成AIが提供します。たとえば、AIが作り出したプロトタイプのデザインや、新しいマーケティング戦略の提案がその一例です。
生成AIは単なるツールではなく、創造性をさらに広げるパートナーとして、今後もその可能性を広げていくでしょう。
生成AIの主な種類4つ
生成AIは、扱うデータの種類に応じてさまざまな形態があります。その中でも、特に注目されている4種類について解説します。
- テキスト生成AI
- 画像生成AI
- 動画生成AI
- 音声生成AI
テキスト生成AI
テキスト生成AIは、文章や自然言語を生成する技術です。フォームに入力したプロンプト(指示文)に沿って、自動でテキストを生成します。主に自然言語処理(NLP)を基盤としており、大量のデータから文脈や言葉の意味を理解したうえで、人間が書いたかのような自然な文章を出力可能です。
長文の要約やブログ記事作成、翻訳などさまざまな場面で活用されています。
画像生成AI
画像生成AIは、視覚的なデータを生成する技術です。ディープラーニングを活用し、既存の画像データを学習することで新しい画像を創り出します。
写真風のリアルな画像や、抽象的なデザイン、イラストなど幅広い形式に対応可能です。
動画生成AI
動画生成AIは、動きのある映像データを生成する技術です。画像生成AIの技術を応用し、フレームごとに画像を生成し、それを連続させることで動画を作成します。
AIが自動生成したシナリオを基に、アニメーションや実写風の映像を作ることも可能です。
音声生成AI
音声生成AIは、音声や音響データを生成する技術です。文字入力や音声データをもとに、自然な音声や音楽を合成します。
本人の声を収録することなくナレーションをつけたり、音声を付与したりすることが可能です。
生成AIで使われている主な技術モデル
生成AIが高品質なテキストや画像、音声、動画を作り出す背後には、さまざまな技術モデルが存在します。ここでは、代表的な生成AIの技術モデルを6つ解説します。
- GPT
- VAE
- GAN
- 拡散モデル
- Voicebox
- Mochi 1
GPT
GPTは、アメリカのOpenAIが開発した自然言語処理モデルで、テキスト生成AIの中核を成しています。大量のテキストデータを学習することで、文脈を理解し、適切な文章を生成します。
GPTは入力された単語間の関係性を考慮する力に長けている「トランスフォーマー」という機械学習技術を基盤にしているため、長い文章であっても正確に文脈を把握できます。
VAE
VAEは、画像生成AIでよく使われる技術モデルの一つです。大まかに言えば、画像データを圧縮して抽出した特徴をもとに新しい画像を生成します。
VAEの特徴は、学習したデータの特徴を「分布」として捉えることです。これにより、既存の画像の特徴を捉えつつ、新しい画像を生み出せます。シンプルな構造と柔軟性が評価され、多くの画像生成タスクで利用されています。
GAN
GANは画像生成AIで広く採用されているモデルで、「生成ネットワーク」と「識別ネットワーク」という2つの部分から成り立っています。生成ネットワークが新しい画像を作り出し、識別ネットワークが作り出した画像を評価する仕組みで、2つが競い合うように学習を進めます。このプロセスによって生成される画像の品質が徐々に向上し、リアルな画像を作れるようになるのです。
GANは画像生成や画像のスタイル変換などで実用化が進んでおり、今後もさらなる発展が期待されるモデルの一つといえます。
拡散モデル
拡散モデルはGANの進化系ともいえる技術で、画像生成の分野で注目されています。ノイズの入った画像を徐々に修復していくことで、元の画像や新しい画像を生成する仕組みです。
GANよりも安定して学習が進みやすい点や高品質で多様な画像を生成できる点が特長で、最近では、DALL-EやStable Diffusionなどの画像生成AIで使用されていることが知られています。
Voicebox
Voiceboxは音声生成AIに使われているモデルで、人間の声を自然に再現することに特化しています。文字や音声データをもとに、新しい音声を生成できます。特に、イントネーションや感情表現を考慮してリアルな音声を作る能力が特徴です。
異なる言語や声質にも柔軟に対応可能なため、音声合成やナレーションなどに広く利用されています。
Mochi 1
Mochi 1は、動画生成AIのために設計されたモデルです。複数のフレームを一貫したストーリーとして生成する技術を備えており、連続した動きを滑らかに表現できます。
Mochi 1は、動きのシミュレーションや映像のプロトタイプ作成において特に効果を発揮します。
【種類別】生成AIの使用例
生成AIは種類ごとに得意分野があり、さまざまな実用的なシーンで活用されています。
ここでは、具体的な使用例を挙げながら、生成AIがどのように役立つかを解説します。
テキスト生成AI
テキスト生成AIの使用例は次のとおりです。
- 文章全般の作成
- カスタマーサポートの自動化
- 翻訳
文章全般の作成
テキスト生成AIは、テーマを指定するだけで記事やコラムの構成を考え、自然な文章を作成します。ライターの負担を軽減し、スピーディーなコンテンツ制作が可能です。
また、提案書や報告書、議事録などのビジネス文書作成においても力を発揮します。簡単な指示を与えるだけで、内容を整えた体裁の良い文章を出力してくれるため、作業効率が向上します。
カスタマーサポートの自動化
テキスト生成AIを活用したチャットボットは、顧客からの問い合わせにすぐ応答します。柔軟な対話が可能なうえ、顧客を長時間待たせることを避けられるため、顧客満足度を高める効果があります。
また、定型的な質問への回答にチャットボットを活用することで、オペレーターは複雑で専門的な問い合わせに専念することが可能です。
翻訳
テキスト生成AIは、精度の高い翻訳が可能です。文脈を理解した自然な翻訳ができるため、ビジネスや観光分野での言語の壁を低くします。
画像生成AI
画像生成AIの使用例は次のとおりです。
- 商品のイメージ画像生成
- デザインのアイデア出し
商品のイメージ画像作成
画像生成AIを使えば、資料やプレゼンテーションに載せる商品やアイデアのイメージ画像を生成できます。実物がまだ完成していない段階でも視覚的なイメージを共有できるため、より商品やアイデアの魅力を伝えやすくなるでしょう。
デザインのアイデア出し
ロゴやキャラクターの初期案をAIに作らせることで、デザイナーがスムーズに作業を進められます。多様なアイデアを短時間で提示してくれるため、クリエイティブな発想を広げる助けになります。
動画生成AI
動画生成AIの使用例は次のとおりです。
- プロモーションビデオ制作
- 教育用の動画制作
プロモーションビデオ制作
動画生成AIを活用すれば、商品の特徴や使い方を説明するプロモーションビデオを短時間で作成できます。特に、短い広告動画やSNS向けのコンテンツ制作に便利です。
教育用の動画制作
教育用のスライドをAIに読み込ませるだけで、ナレーションやアニメーションを追加した説明動画を自動生成できます。教育コンテンツの作成が手軽にできるようになるため、教育に割く時間も効率化できるでしょう。
音声生成AI
音声生成AIの使用例は次のとおりです。
- カスタマーサポートの自動化
- 音声ガイド
カスタマーサポートの自動化
音声生成AIはコールセンターでの自動音声応答システムに活用されており、顧客の質問にリアルタイムで応答可能です。自然な声質での対応が可能なため、従来の機械的な音声に比べて利用者の印象が向上します。定型的な問い合わせを自動化できることで、オペレーターの負担を軽減する効果が期待できます。
音声ガイド
音声生成AIは観光地での多言語音声ガイドとして利用されており、外国人観光客へのサービス向上に役立ちます。AIがリアルな発音でナレーションを行うため、分かりやすい解説を提供可能です。
また、書籍やウェブページの内容を読み上げる機能としても使用されており、視覚に障害がある人々の情報アクセスを支援しています。
生成AIを活用した主なサービス12選
生成AIの技術を活用したサービスは、さまざまな分野で登場しています。生成AIを代表するサービスを「テキスト」「画像」「動画」「音声」それぞれ3つずつ紹介しますので、自分のニーズに合ったものを見つける参考にしてください。
生成AIの種類 |
主なサービス名 |
テキスト生成AI |
・ChatGPT ・Claude ・Jasper AI |
画像生成AI |
・DALL-E 3 ・MidJourney ・Stable Diffusion |
動画生成AI |
・Runway ・Pictory ・Synthesia |
音声生成AI |
・ElevenLabs ・Voice AI ・Murf.AI |
テキスト生成AI
テキスト生成AIの主なサービスは次の3つです。
- ChatGPT
- Claude
- Jasper AI
ChatGPT
ChatGPTは、OpenAIが開発した汎用的な対話型AIモデルです。高度な自然言語処理技術を活用し、質問に答えたり、文章を生成したりできます。幅広い用途に対応できるため、ビジネスから教育、個人利用まで幅広く活用されています。
Claude
ClaudeはAnthropicが開発したAIモデルで、特に安全性と倫理を重視して設計されています。自然な対話と文章生成が得意で、コンテンツ作成や意思決定のサポートなどに利用されています。
Jasper AI
Jasper AIは、マーケティングやクリエイティブな文章作成に特化したツールです。広告文やSNS投稿、ブログ記事の作成を効率化するテンプレート機能が充実しています。
画像生成AI
画像生成AIの主なサービスは次の3つです。
- DALL-E 3
- MidJourney
- Stable Diffusion
DALL-E 3
DALL-E 3はOpenAIが開発した画像生成AIで、テキストプロンプトから高品質な画像を生成できます。言語理解能力が高いため、抽象的な指示にも対応できます。
MidJourney
MidJourneyは、コミュニケーションツールの「Discord」を通じて操作する画像生成AIです。抽象的なデザインや幻想的なビジュアルの生成に優れており、多くのクリエイターに利用されています。
Stable Diffusion
Stable Diffusionはオープンソースの画像生成モデルで、多くの開発者や研究者が利用しています。カスタマイズ性が高く、幅広い用途に対応しています。
動画生成AI
動画生成AIの主なサービスは次の3つです。
- Runway
- Pictory
- Synthesia
Runway
Runwayは、テキストプロンプトから直接動画を生成できる生成AIです。短い動画の生成に強みがあり、プロフェッショナルな仕上がりを短時間で実現します。
Pictory
Pictoryは、既存のテキストやスクリプトから自動で動画を作成するAIツールです。スライドや記事を簡単に映像化できるため、マーケティングや教育分野での利用が進んでいます。
Synthesia
Synthesiaは、AI生成のアバターを使用して動画を作成するツールです。アバターがテキストを話す動画を簡単に作れるため、オンライン講義やプレゼンテーションに活用されています。多言語対応している点も強みです。
音声生成AI
音声生成AIの主なサービスは次の3つです。
- ElevenLabs
- Voice AI
- AI
ElevenLabs
ElevenLabsは、テキストから自然でリアルな音声を生成するツールです。感情表現やイントネーションに優れた音声を作成でき、オーディオブックやナレーションの制作に適しています。
Voice AI
Voice AIは、好みに合わせて声質をカスタマイズできる音声合成機能を持つツールです。年齢や性別、話速などを調整することで、自然な音声を生成可能です。配信を行うストリーマーやゲーマーに人気があります。
Murf.AI
Murf.AIは、120以上の声と20以上の言語に対応し、Google SlidesやCanvaとの統合機能を備えた音声生成ツールです。ピッチやスピード、呼吸の間隔なども調整できます。多言語対応が必要なプロジェクトやプレゼンテーションに便利です。
生成AIの企業活用事例
生成AIを企業ではどのように活用しているのか、具体的な事例をご紹介します。自社での導入イメージがわかないという方はぜひ参考にしてください。
- メルカリ:出品商品の改善提案機能
- ビズリーチ:職務経歴書の自動作成
- パナソニックコネクト:社員向けAIアシスタントサービス
- アサヒビール:体験型プロモーション
- レベルファイブ:キャラクターや背景素材案
- 伊藤園:商品パッケージのデザイン案
- PARCO:ファッション広告CM
- KDDI:CMのリメイク
- 東急電鉄:駅の構内放送
- モバイルインターネットテクノロジー:プログラミング教材の音声機能
- 聖隷福祉事業団:研修コンテンツの作成
メルカリ :出品商品の改善提案機能
メルカリでは、2023年10月より生成AIを活用したアシスタント機能「メルカリAIアシスト」を提供しています。
第一弾として導入されたのは、出品済みの商品情報をAIが分析し、商品がより売れやすくなるよう出品者に改善提案をする機能です。一定期間売れ残っている出品商品に対して、AIがメルカリの過去の情報をもとに、商品サイズや購入時価格などの追記すべき内容のほか、おすすめの商品名などを自動生成します。
開始当初は「メンズ」「レディース」「おもちゃ・ホビー・グッズ」などの一部商品にのみ対応していますが、徐々に対象カテゴリを増やし、出品者の最適な行動を促していきます。
参考:メルカリ、生成AI・LLMを活用してお客さまの最適な行動を促す「メルカリAIアシスト」の提供を開始|メルカリ
ビズリーチ :職務経歴書の自動作成
転職サイトを運営するビズリーチでは、「ビズリーチ」に搭載するGPTモデルのレジュメ(職務経歴書)自動作成機能を開発しました。
職務経歴書はこれまでのキャリアを振り返って自身の強みや実績をわかりやすくまとめなければならないため、時間のかかる作業であり転職活動において最初のハードルです。レジュメ自動作成機能を使うと、4つの質問に回答するだけで業務内容を自動で作成できるため、小さな負荷で簡単に最適な内容の職務経歴書を作成できます。
ツールを使用して職務経歴書を更新した会員とそうでない会員を比較したところ、ツールを使用した会員のほうが平均で40%多くのスカウトを受け取ったという結果が出ているそうです。
参考:ビズリーチ「GPTモデルのレジュメ自動作成機能」を開発 東京大学マーケットデザインセンターと共同で、GPTツールの性能評価を発表|ビズリーチ
パナソニックコネクト :社員向けAIアシスタントサービス
パナソニックコネクトでは、「生成AIによる業務生産性向上」「社員のAIスキル向上」「シャドーAI利用リスクの軽減」を目的に、ChatGPTをベースとしたAIアシスタントサービスを国内の全社員約12,400人に展開しています。
1年間の活用実績を調査したところ、次のような結果が得られました。
- 生成AIによる業務生産性向上:1年で全社員18.6万時間の労働時間を削減
- 社員のAIスキル向上→戦略策定や商品企画などの1時間以上の生産性向上につながる利用が増加
- シャドーAI利用リスクの軽減→16ヵ月の間に情報漏洩、著作権侵害などの問題は発生なし
パナソニックコネクトでは、AIプロンプト添削機能の追加や自社特化AIの実用化開始など、積極的に生成AIの活用を進めています。
参考:パナソニック コネクト 生成AI導入1年の実績と今後の活用構想|パナソニックホールディング
アサヒビール :体験型プロモーション
アサヒビールでは、画像生成AI「Stable Diffusion」を採用したオリジナル画像作成サービス「Create Your DRY CRYSTAL ART」を展開しました。Stable Diffusionを体験型プロモーションに活用するのは、アサヒビールが日本初です。
「Create Your DRY CRYSTAL ART」は、任意のテキストと自身の画像をアップロードするとオリジナル画像が生成されるサービスで、画風の指定もできます。より多くの体験を促進することで、「スーパードライ ドライクリスタル」の世界観を感じてもらい、商品の認知拡大や購入喚起を図ることが目的の取り組みです。
参考:画像生成AI「Stable Diffusion」を日本で初めて体験型プロモーションに活用|アサヒビール
レベルファイブ :キャラクターや背景素材案
ゲーム作品の企画や制作、販売を行うゲームメーカー「レベルファイブ」では、キャラクターや背景素材などのアイデア出しに生成AIを活用しています。
たとえば、ゲームタイトル画面のレイアウト案出しでは、画像生成AI「Stable Diffusion」で生成したレイアウト案を参考に世界観に合ったイラストを作成しています。他にもキャラクターやクエスト設定の案出しにChatGPTを活用し、デー無二使用する各データの参考資料とすることもありました。
基礎データの作成やアイデア出し、クオリティアップに生成AIを有効活用しています。
伊藤園 :商品パッケージのデザイン案
株式会社プラグが開発した「商品デザイン用の画像生成AI」のパイロット版を活用し、伊藤園は「お〜いお茶 カテキン緑茶」のパッケージをリニューアルしました。
「お〜いお茶 カテキン緑茶」のデザイン開発においては、画像生成AIで生成された画像を参考にしてデザイナーがイラストやデザインを作成し直したうえで、商品デザインが完成しました。
株式会社プラグでは、今回伊藤園が活用した飲料限定のパイロット版に限らず、食品や日用品などさまざまなカテゴリーで活用できる画像生成AIの改良を進めているそうです。
参考:業界初!『商品デザイン用画像生成AI』を活用したデザインで伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」リニューアル発売|PRTIMES
PARCO :ファッション広告CM
PARCOでは、広告内のすべての要素に画像生成AIが活用されたファッション広告を制作しました。人物はモデル撮影を行わず、プロンプトで作成。クリスマスオーナメントやプレゼントボックスなどのモチーフ、ナレーションや音楽まですべてで生成AIが活用されています。
実際に撮影したかのようなリアリティや驚き、アート性・ファッション性が評価され、一般社団法人デジタルメディア協会(AMD)主催の「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー’23/第29回AMD Award」にて、年間コンテンツ賞「優秀賞」を受賞しました。
参考:コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック|経済産業省
KDDI :CMのリメイク
KDDIでは、auの人気CM「三太郎シリーズ」約160本から厳選したシーンを、生成AIがアニメーションにリメイクした年始限定CMを2024年1月に放映しました。画像生成AI「Stable Diffusion」を活用し、新たな表現にチャレンジしています。
また、同時期に公開された特設サイトでは、生成AIで自分だけの三太郎CMが作れるコンテンツも。2024年にやりたいこととニックネームを入力してAIボイスを選択すると、オリジナルのイラスト・歌詞が生成され、オリジナルムービーが完成する仕組みです。
今後もauのブランドコンセプト「おもしろいほうの未来へ。」を体現するようなコンテンツを展開していくそうです。
参考:10年目のau三太郎、生成AIでリメイクしたお正月CMを放映、自分だけの三太郎MVを創れる特設サイトも公開|KDDI
東急電鉄 :駅の構内放送
東急電鉄では、音声生成AIサービス「ReadSpeaker」を採用した駅の構内放送を行っています。活用されているのは、東急世田谷線10駅の電車接近時における案内放送。日英男女計4話者に対応し、外国からの利用者にとっても理解しやすい案内放送を提供しています。
東急電鉄によれば、日英男女4話者に対応する場合は通常4パターンの収録が必要になるところ、生成AIによって確認やリテイクなどが不要になったことで、工期や費用の大幅に削減できたそうです。
参考:【東急電鉄株式会社】東急世田谷線の駅構内放送としてReadSpeakerのAI音声(音声読み上げ)が採用|ReadSpeaker
モバイルインターネットテクノロジー :プログラミング教材の音声機能
モバイルインターネットテクノロジーでは、プログラミング教材の音声機能に音声生成AI「AITalk」を採用しました。
プログラミング教材「Mind Render」は楽しみながらプログラミング教育を学べるアプリとして提供されており、おもしろさを引き出す要素の一つとしてキャラクターを喋らせる機能を検討していたそう。AITalkを活用したところ、1日程度で実装できたとのことです。
参考:VRプログラムを作って遊べる、PC・タブレット/スマートフォン向けのプログラミング学習アプリ「Mind Render」へ喋らせる機能の追加|エーアイ
聖隷福祉事業団 :研修コンテンツの作成
病院や介護施設など全国210施設を運営する社会福祉法人聖隷福祉事業団は、職員研修などの説明にかかる負担を軽減したいという課題を抱えていました。介護事業は24時間365日稼働しているため、1回の研修で職員全員を集められず、同じ研修を複数回する必要があります。講師ができる人材の不足もあり、音声生成AIを活用した研修コンテンツ作成に踏み切りました。
今後は研修コンテンツだけでなく、施設入居者に向けた音声アナウンスとしての活用も検討しているそうです。
参考:社内教育、研修コンテンツの作成に音声AIサービスのVoice Spaceを活用|Stand Technologies
生成AIを活用するうえでの注意点
生成AIは便利で多機能なツールですが、利用する際には次のような注意点があります。
- 機密情報や個人情報は入力しない
- 必ず人の目で情報を確認する
- 生成AI活用のガイドラインを定める
注意点を理解して適切に活用することで、リスクを最小限に抑えられます。
機密情報や個人情報は入力しない
生成AIを利用する際、機密情報や個人情報を入力しないことが重要です。多くの生成AIは、クラウド上で動作し、入力データが外部サーバーに送信される仕組みになっているため、情報漏洩のリスクが生じる場合があります。たとえば、顧客情報や社内の機密資料をそのまま入力してしまうと、不適切なデータ利用やサイバー攻撃による流出の危険性が高まります。そのため、入力する情報は必ず公開しても問題のない内容に留めましょう。
必ず人の目で情報を確認する
生成AIが出力した内容は、必ず人間が確認する必要があります。生成AIは膨大なデータをもとに文章や画像を生成しますが、時には事実と異なる情報を出力することがあります。これは「ハルシネーション」と呼ばれる現象で、生成AIが自信を持って誤った情報を提供する場合もあるからです。
また、生成AIが他者の著作権を侵害するようなコンテンツを意図せず作り出す可能性もあります。このため、出力結果をそのまま利用するのではなく、適切なチェックや編集を行うことが重要です。
生成AI活用のガイドラインを定める
生成AIの活用におけるリスクを軽減するために、社内で統一されたガイドラインを設けることが推奨されます。たとえば、以下のようなルールを明文化しておくとよいでしょう。
- どのようなデータを入力してよいかの基準
- 出力結果の使用範囲や編集の方針
- 利用する生成AIツールを限定する規定
このようなガイドラインを設けることで、生成AIを利用する社員が一貫した基準に従えるため、予期せぬトラブルを防止できます。
生成AIの活用に関するガイドラインは国や地方自治体、法人で公開されているため、どのようなことを盛り込めばよいか悩んだ際は参考にするとよいでしょう。
国・地方自治体・法人 |
ガイドライン |
デジタル庁 |
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総務省 |
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東京都 |
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兵庫県 |
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富士通 |
まとめ
生成AIとは、テキスト、画像、音声、動画などを生成することを目的とした人工知能技術です。クリエイティブな作業の効率化や新たな創造性の領域を切り開くツールとして注目されています。企業でもアイデア出しや体験型プロモーション、広告制作などさまざまな場面で活用が進んでおり、生成AIとともにその活用方法も進化していくことでしょう。
ただし、生成AIは便利である反面、活用には注意すべき点もあります。ガイドラインを策定し、考えられるリスクをできる限り軽減したうえで活用することが求められます。
株式会社オルツは、パーソナル人工知能を中心としたAI活用・LLM開発・DX推進をご支援しています。ヒアリングから運用まで一貫してサポートしていますので、AIにあまり詳しくないという場合でもご安心ください。AI活用にご興味がありましたら、下記のお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。